「プラントハンター」という言葉を何となく聞いたことある人はいますか。全く「プラントハンター」という言葉を聞いたことない人もいるかもしれません。昔から現在までプラントハンターという職業は存在しています。しかし、プラントハンターの黄金期と言われていた18世紀から19世紀のときに様々な呼び名があったと言われているからです。
プラントハンターの成り立ち
18世紀のイギリスでは、ケシ (Papaver Somniferum) を筆頭に植物を原料とする商品の経済活動が盛んになっており、植物は貿易などの世界秩序を保つものとして重要となると考えられるようになりました。そのことにより以前は、植物について学んだものは単なる「園芸家」としてしか認識がなかったのが「植物学者」としてイギリスを中心に評価されるようになっていったと言われています。そして「植物学者」として称号を得た人達は、19世紀半になると帽子を被り、鋲を打った長靴を履き身につける衣類が変化しました。世の人々も球根や庭木の世話をする慎ましやかな「園芸家」の人間ではなく、冒険活劇の主人公や世界の変革者と認識するようになります。このころになると「プラントハンター」という言葉が出てくるようになります。そして「プラントハンター」たちが採取した外国産の植物は王立キューガーデン植物園に納められ、イギリス本国やその植民地の科学、経済、農業の分野で大きな価値を持つようになりました。また植物を死なすことなく生きたまま郵送できる新技術が進歩したおかげで、プラントハンターは異国の珍しい植物を確実に本国へ送ることができるようになった
他の呼び名のプラントハンター
プラントハンター(Plant Hunter)にはいくつか呼び名があります。
- ボタニカル・トラベラー(Botanical Traveller)
- ホーティカルチュラル・エクスプローラー(Horticultural Explorer) 園芸植物探検家
- プラント・コレクター(Plant Collector) 植物収集家
ボタニカル・トラベラー、ホーティカルチュラル・エクスプローラー、プラント・コレクターの指す意味に大きな違いはありません。この呼び名の中ではメジャーなプラントハンターも昔は辞書に載ってなかったようです。今ではインターネットですぐ調べることができますが、インターネットがない昔だからこそ同じ職業を指す言葉でもバラツキがあったと言えるのかもと思いました。
プラントハンターの呼び名を与えた人は
「プラントハンター」という呼び名を使い始めた人は誰かわかっていません。しかし、「ボタニカル・トラベラー(Botanical Traveller)」という呼び名を使った人は、ジョーゼフ・バンクス卿だったと言われています。
ジョーゼフ・バンクス卿は18世紀の末から19世紀の初めにかけてイギリスの学界を代表する人物で、18世紀ごろロイヤルアカデミーの院長を務め、世界中の植物を集める王立キュー植物園の運営に大いに力を振るった人物でもあります。そのことからジョーゼフ・バンクス卿自身も指示して世界中に派遣するプラントハンターたちにボタニカル・トラベラー(Botanical Traveller)と名付けたとされています。